２．名前論 女子高生 田嶋と見木原の会話
「…ねぇ」
「何？」
「何で名前ってあるのかなぁ……」
「……どうしたのいきなり」
「いや、ちょっと漫画とか読んでて気になって」
「簡単でしょう。その方がわかりやすい」
「……いや、それはそうなんだけども。いきなり終わらせないでよ」
「だって他にないじゃないの」
「それはそうかもしれないけど。まだあるんだって」
「他に何があるの」
「ほら、漫画とかアニメとかでさ、よく必殺技とか魔法とか叫んだりするじゃん。あれ何で叫んでるのか、これも気になって」
「だから言ってるでしょう。その方がわかりやすいって」
「またそれぇ？」
「必殺技に名前がなかったら不便でしょう。敵にも味方にもどう教えればいいのかわからないし。ジェスチャーで『ほら、あの両手をお椀の形にして相手に向けて波動を放つ技』って教えることになるじゃない。椅子とかも『座る台』という言い方にもなるし」
「………………ああ」
「納得したんだ」
「うん、した」