５．小石論 暇人 横山の一日
道端に小石がひとつある。
この小石はどこの小石だろうか。そしてどこから来て、ここに来たのだろうか。
そもそもこの小石は何のためにあるのだろうか。
誰かに蹴飛ばされるため？
今のところそれ以外に考えられる理由がない。
とりあえず、蹴飛ばしてみることにした。
コィン
結構よく飛んだ。
よし、もう一回だ。
カィン
おお、よく飛んだ。
どうせだから向こうの川に落ちるまでやっておこう。
カキン
クィン
コキン
おかしい、なぜ川に入らない。なぜ変な方向に飛んでいく。
蹴りを入れる力を間違えてるのかな。よし、真ん中だ。真ん中を狙おう。
…………ようやく川に入った。あっちに行ったりこっちに行ったりで大忙したっだがこれでもう大丈夫だな。
で、俺はなんで小石を蹴とばしていたんだっけ……？
ま、いいか。結構楽しかったし、こういう一日があってもバチは当たらんだろうたぶん。
いや、やっぱり損したかも。